前回に続いて
人材アセスメントの種類について考えていきます。前回は「自己申告形式」か「他者評価形式」かで区分しました。前者はアンケートや設問に解答する形式、後者は第三者であるアセッサーが、受講者のケーススタディ上のアウトプットを客観的に評価する形式です。
人材アセスメントを区分する
今回は「現在か未来か」の基準で区分してみます。この現在か未来かは少々、分かり辛い基準ですが、例えば自己申告形式のアンケートを前提とすると、「これまでのあなたはどうでしたか?」が現在、「今後、あなたはどうしていくつもりですか?」が未来となります。
他者評価形式による「現在か未来か」
皆さんがイメージされる一般的な人材アセスメントは他者評価形式ですが、この他者評価形式による人材アセスメントの場合、目的によって、あるいは内容によって現在か未来かが区分されます。
目的、いわゆる人材アセスメントを実施する企業さん側の問題意識(受講者への期待)となりますが、コンピテンシーの棚卸しによる自己成長課題の認識など、「現在のあなたのコンピテンシーの水準はどうですか?」がテーマとなる場合は、必然的に現在をアセスメントするといった構図になります。
一方、ある階層への昇進昇格者を決定する場合、あるいはアルバイトの方を正社員として採用する場合など、「この先、あなたは活躍することが可能ですか?」がテーマとなり、こちらも必然的に未来をアセスメントする構図となります。
内容による区分
この内容による区分ですが、人材アセスメントの中で受講者に取り組んでいただくケーススタディ類の難易度や設定を指しており、例えば受講者の現状のポジションがマネージャークラスであるのに対して目的が部長クラスへの昇格の場合、難易度は高めに、設定は部長職でとなります。
他にも取り組んでいただくケーススタディそのものも、マネージャークラス以下でポピュラーなものは使わないという場合もあります。
ただし、内容による場合、そこまで厳密に区分していないケースも多く、一般的に内容による区分は企業さんも実施する側もあまり意識されていないようです。
最後に
この現在か未来かによる人材アセスメントの区分は、どちらが正しいかといったものではなく、その目的によって位置づけられるということになります。
一方、例えば目的が未来、「この先、この受講者は活躍することが可能ですか?」の場合、内容である「ケーススタディ類の難易度や設定」を十分に検討しないとなると、評価結果の確度や受講者からの信頼性にマイナスの影響を及ぼすので注意が必要です。
この場合、企業さんのご担当者の多くは設定に意識が向かいます。
「部長昇格の人材アセスメントであるのにインバスケットの設定はマネージャークラス」
「サブリーダークラスの選抜なのに部下面談演習の設定は店長」
一方、その難易度には意識が向かうことは少なく、「設定は部長クラスで大袈裟であるが、ケーススタディの内容は実質、担当者レベル」といったものも頻繁に見聞きします。この点は十分に注意する必要があります。
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