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差別化の功罪

これまで約3万5千人の受講者の方のインバスケットの解答を拝見してきました。そして2022年11月~2023年2月は約350名の受講者の方のインバスケットの解答を拝見し、他の演習を含めて評価させていただきました。


このように新旧織り交ぜ、経験則的にいろいろなことを受講者の方にお伝えできる立場にある訳ですが、今回は2022年11月~2023年2月に拝見したインバスケットの解答で気が付いたことをお伝えできればと思います。


弊社のインバスケットは案件処理と方針立案が同時に実施できるケース構造になっており、初めの2時間でケースを読み込んで案件処理、続いての1時間で方針立案、このような形でインバスケットを実施しております。


このケース構造で案件処理、方針立案を実施・評価するとなると、やはりターゲットポジションはミドルクラス(一般的に課長職以上)であり、受講者の方もそれなりにといったことになります。


「それなりに」、先の記述であれば一般的には肯定的な意味ですが、「それなりに」の方が多く集まると、考え方も「それなりに」に落ち着くような気がします。


今回は2022年11月~2023年2月に拝見したインバスケットの解答のうちターゲットポジションがミドルクラスの解答が約70%、使用したケースは2種類、その2種類とも方針立案において命題というか前提は「与件企業は差別化を図る必要がある」となっていました。


この「差別化を図る必要がある」という命題や前提は、案件(関係者からの報告メールや依頼メール)に適宜、ミックスされており、方針立案の際には意識的にも無意識的にも「差別化」が解答(方針)の骨子になりますが、「差別化後の具体的な事業イメージ」を提示される受講者の方は一握り、ほとんどの方は「差別化を図る必要がある」「今後、差別化を図っていく」「差別化を図るためのプロジェクトチームを編成する」「差別化に向けたアイデアを募集する」といった方針や方針内の施策に落ち着きます。当然、このような方針や方針内の施策はゼロ評価となりますが、さらに「差別化をテーマとした方針の多くは(解答の)差別化になっていない」の厳しいコメントに着地します。


「それなりに」の方が多く集まる人材アセスメントの場面において、手成り的に日常的なスタンスで臨んでしまうと「それなりに」の評価しか得られないという残念なご報告です。


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